遠隔転移病巣に対する放射線治療について

遠隔転移病巣に対する放射線治療について私の基本的な方針や姿勢についてお示ししておきます。
原発巣とは別の臓器にがんが転移するのが遠隔転移です。遠隔転移がみつかると患者さんは4期と診断され、ほとんどのがん専門病院では抗がん剤が標準治療になります。
それが高い効果を挙げているのならよいのですが、多くの患者さんでは副作用の割に治療効果は乏しくて、寿命を延ばすつもりだったのに、むしろ縮めてしまっている場合の方が多いのが現状です。

自著「抗がん剤治療のうそ」を読んでいただくと判るのですが、抗がん剤がとびきり良く効くとされる乳がんの場合でさえ、抗がん剤で寿命が延びる人は全体の1割から2割しかおらず、残りの8割の人には、実は延命効果はないのです。

もちろん放射線治療が万能なわけでは決してありませんが、オンコロジーセンターを受診された患者さんのなかには、抗がん剤を避けて放射線治療を受け、全身の転移病巣を上手にコントロールしている人も珍しくはありません。もちろん、全ての全身転移の患者さんに放射線治療が可能な訳ではありませんし、治療を行う場合には通常150万円から250万円ほどの自由診療の治療費がかかってしまいますので、当方での治療を希望される方には、まず私自身が直接お会いして患者さんの病状や全身状態を把握し、治療の可能性や期待できる効果などについてご相談して治療可能と判断した場合に治療を行っています。

ひとり一人の患者さんの病状はすべて異なりますので、治療方法や治療期間もみな異なります。治療効果もそれこそ結果論になりますが、4期の患者さんで放射線治療後、年単位で病巣が消えたままになる方も決して珍しくはありません。

世の中の標準治療が最善の治療だと考えてしまうのは、いささか軽率に過ぎる印象です。