新型コロナウイルスについて前回コメントしてから1か月余りが経過しています。
その間ウイルスにCOVID-19という名前がついたり、クルーズ船の中で汚染範囲と非汚染範囲の区別がついておらず感染が大幅に拡大したといったことがありました。
現在までクルーズ船に乗っていた人のうち、五人に一人が感染し高齢者が多かったこともあって亡くなった方も何人も確認されています。
二月の後半になって街中で見かける中国の人の数はかなり減りましたが、それまでは大勢の人たちが観光や買物で日本中にあふれていました。
現在でも中国の主要都市との行き来は制限なく続いているので、日本国内にウイルスは相当入り込んでいるのだろうなと誰もが感じていると思います。
実際に市中感染の増加があるのに、ウイルス検査を実施する対象がなぜか著しく限られていたため、国内の本当の感染者の数やその分布がまったくわからず、それが国民全体に大きな不安を与えていました。そんな中で、今週から全国の小中高を一斉に休校にする要請が出されました。
唐突だったので混乱も生じていますが、結果として、これは今回の政府の方針として初めての正解になるだろうと思います。
高齢者など体力のない人が重篤化しやすいので、小中高を対象にしたことが正解とは思わないのですが、唐突な発表で、国民に、「これからの2週間が正念場」というメッセージが伝わり、人の移動や外出が明らかに減ったのです。
電車も飛行機もデパートも先週と今週では人口密度がまるで違います。人と人との接触が減れば当然感染は減ります。
経済的な問題は山積するでしょうが、この傾向が今月いっぱい続けば感染の拡大には間違いなくブレーキがかかります。
これまで北海道で感染者が多かったのは、冬の北海道は十分な暖を取るために室内がしっかり密閉されていて換気が不十分になりがちだからです。
そこに誰かがウイルスを持ち込むと感染の可能性は高まります。
東京の屋形船や大阪のライブハウスも同じ理屈。密閉された換気不十分な空間に長時間滞在したことが原因です。
中国からの報告をみても感染場所は家庭内が主ですから、COVID-19は感染者と同じ空間で長時間過ごすことで感染率が高まり、道で感染者とすれ違ったくらいで簡単に伝染するようなウイルスではないと考えられます。
マスコミでも連日この感染症についての話題が大きく取り上げられています。未知のものに対する恐怖から、ないものねだりする心理は理解できますが、予防法や治療法が短期間で確立できる可能性は極めて低い、ほぼ不可能と考えるべきでしょう。
既存の薬剤が有効であったという話がちょこちょこでてきますが、もともと不顕性感染や軽症が多く、基本的に治るときは自然治癒です。薬の効果かどうか判断が難しく、過剰な期待はやめた方がいいと思います。
ウイルスをもらわないのが一番ですから、無駄な外出は当然避けるべきでしょう。
でも、そうはいっても社会生活をしています。どこでウイルスに接してしまうかわかりません。
私は、咳をしている人には近寄らないようにしています。電車などで出くわした時は別の車両に移動しています。つり革や手すりにも極力手で触らないようにしています。
そして、とにかくよく手を洗うようにしています。誰の飛沫がどこに付着しているかわからないので、外出先では意識して手で顔を触らないようにしています。
アルコール除菌が有効なウイルスのようですが、なかなか手に入らないようです。
マスクの話もよくでます。私は、多くの医師と同様に健康な人が感染予防でマスクをつける意義はほとんどないと思っていますが、咳の出る人や体調不良な人は是非つけて欲しいと思います。
また、感染予防でマスクをつける場合には、絶対に清潔な手でマスクを扱いましょう。
もしも、ウイルスの飛沫に触った手でマスクをつけたとしたら、わざわざウイルスを口や鼻に長時間運んでいるようなものです。
清潔なマスクを用意して十分な手洗いをしてからマスクにさわりましょう。もちろん一回ごとの使い捨てでないとあまり意味はないと思います。
今後はウイルス検査のシステムも改善され、これまでよりは検査が増えるだろうと思います。
もし感染を疑って検査を受け陽性になった場合、抗体ができるまでの時間が必要です。
無症状ないし軽症なら人にうつさないように自宅で安静にしている方がよいでしょう。
安静にしていても症状が軽くならない場合には、重症化や、場合によっては呼吸管理の必要もでるかもしれませんので、呼吸器専門の病院を受診するしかないと思います。
そして結局、感染しないため、発症しないため、重症化しないためには「良い栄養」と「良い睡眠」です。
免疫力に勝る対処法はありません。