オンコロジー がスタートした2006年11月から2016年3月までの間に、私たちが治療したステージ 1 の乳がんの患者さんは 104 名になりました。

年齢は26歳から79歳で40代が最も多く、日本全体の傾向と比べて30-40代の方の比率が少し高いことがわかりました。また、ステージ1といっても、乳腺の中に2センチ以下の病巣が多発していて、ほとんどの外科医が温存手術ではなく乳房全摘手術を選択すると思われる患者さんも10名含まれていました。

ご存知のように、私たちが行っているステージ1の乳がん治療は、外科手術せず薬物療法もなしで、独自に開発した放射線治療の方法で完治を目指すという、世の中の標準治療とは全く異なるアプローチです。

世界中の医学論文のほとんどが採用しているカプラン・マイヤー法という統計の方法を用いてその成績をまとめました。

日々の診療における経過観察で、相当良い成績が出ているだろうと予想はしていましたが、今回の結果はそれをはるかに上回りました。

乳房内の局所に再発した方は一人しかいませんでした。この方は再発後に友人の外科医に依頼して手術をしてもらい、今も元気です。

乳腺周囲のリンパ節に転移した方は一人もいませんでした。

乳腺以外の臓器に転移した方もわずか一名のみ。2年後に肝臓に転移がみつかりました。この肝転移は単発でしたので私たちがピンポイント照射で制御しました。この方は翌年、肝臓の別の場所にまた転移が出ましたが、これも同様に制御して1年ほど経過したところです。肝転移後も薬物療法は全く行っていません。

乳がんとは無関係に大腸がんで数年後に亡くなった方、くも膜下出血でほぼ寝たきりになった方などはおられますが、現在まで乳がん死亡はゼロです。

「なんとなく心配だから」と、ご自分の意思でホルモン療法を続けている方が二名ほどおられますが、もちろん結果に影響はありません。

あくまでもステージ 1 の成績ではありますが驚くほど良好です。

私は、過去に国内だけでなく米国や欧州の権威ある学会や医学雑誌にも乳がん治療の論文をいくつか発表し、同時に他施設の論文も多数読んできましたが、これほどの良好な結果には出会った記憶がありません。

5年での再発転移率はわずか2% 、10年での再発転移率もわずか2%で、乳がん生存率は10年で100%、他病死を含めても10年生存率は95%以上です。

これまでオンコロジー の患者さん達から、とても具合が良いのに、他の人と話すと「トンデモナイ民間療法を受けた愚か者」というレッテルを貼られる、という話を聞くことが時々あったのですが、 これからは「世間の常識に捉われない賢い選択のできる人」という評価が出てくるかもしれません。

閑話休題

乳がんでステージ 1 以外の患者さんの長期データにつきましても、近々、別のところで別のかたちでお知らせすることができると思います。
こちらも是非ご期待ください。

また、私たちは鹿児島で治療を開始する以前に、所沢の防衛医大でも同様の乳がん治療を行っていました。その中にステージ 1 の方は10名含まれていて、その再発・転移率はやはり10年で0%であったことを確認しております。